総合ビジネス支援協会ブログ

ドラッカーが見ていた将来 3 プロフェッショナルを活かす

こんにちは。

今日は、ドラッカーが「ハーバード・ビジネス・レビュー(HBR)」に投稿した第3作目の著書、

「プロフェッショナルを活かす」(1952年)

について取り上げたいと思います。

1950年代は労働人口の中で「専門職」が急速に増えつつあったものの、
産業界の需要にはとても追いつかない状況でした。

しかし、このような貴重な「専門職」の士気は低く、
きわめて非効率に働かされているとドラッカーは感じていました。

そのような原因が「専門職」の「行動様式」にあると、
ドラッカーは以下のように分析しています。

1.専門職ならではの価値基準
 専門職には客観性や独自の基準があり、経営陣が問題を定義したり、
結論を決めたりしても、それを無批判に受け入れることはしない
(例:納期よりも完璧さを追求する)。
こうした経営者と共存不可能と思える行動様式を受け入れることにより、
専門家を組織に貢献させることができる。

2.専門職の職癖
 専門職はすべての仕事をみずからの手でやらなければ気が済まない
性質の人たちである(例:使用するデータはすべて自分で確かめる)。
そのため、組織、とりわけ大組織とは平仄が合いにくい。
「得意の仕事に専念し、それ以外のことは他の従業員に任せてほしい」
と言われることこそ、彼らが望んでいることである。
こと専門分野に限っては、彼らはそのすべてを掌握しないと気が済まない。

3.自己完結型の論理
 専門職の論理は自己完結型であり、経営者が当然と考える論理は
彼らには通用しない。
(例:会社の業績に関わりなく、自己の成果に関する評価・報酬を求める)


 こうした、専門職特有の行動様式を踏まえつつ、ドラッカーは経営者に対し、
専門職の行動様式を変えるのではなく、
「既存の事業慣行のほうを大幅に変更し、専門職の特性を大いに活用する」
方法を見出すべきであるとします。

 そして、企業と専門職の
「フリクション・ポイント」(両者間で最も摩擦が起こりそうな箇所)
を特定し、トラブルや非効率を極限化すること、
また、このフリクション・ポイントに「潤滑油」を差し続けることを
以下に提唱しています。

【フリクション・ポイント】
1.管理プロセス
 専門職は、監督されることを大変嫌う。また、専門職として優れている人ほど管理能力は低く、管理業務への関心も薄い。
その結果、専門分野で同僚に認められていない人ほど、管理職に就く可能性が高い。
 そこで、管理能力の有無にかかわらず、専門分野でリーダーを務める人が
昇進できる方法を探すべきである。

2.専門性の評価
 専門職が管理プロセスになじめないことと、自分の専門性が正当に評価されて
いないことへの不満は深く関係している。
そこで、彼らを評価する機会を社内外に整える必要がある。
 彼らは人々を管理することよりも、助言することに向いている。
そのため、管理職に昇格させて評価するよりも、組織の命令系統から切り離し、
「名誉職」に据える。
 また、若手の専門職には、社外活動を積極的に奨励し、「社外の名誉」を
獲得する機会を与えるべきである(学会への参加、非常勤の教職など)。

3.仕事の中身
 3つ目のフリクション・ポイントは、企業が専門職に求める仕事の内容である。
特に仕事を割り当てる方法をめぐっては、摩擦が起こりがちである。
 専門職の仕事はその専門分野で評価されるものでなければならない。
単なる便利屋として扱われると腹を立てる専門職ほど優れた人材である。
企業の論理に服従して技術を提供するだけの人は、早晩ひがみっぽい三流の
専門職になり下がり、しまいには約に立たなくなる。

4.人事管理
 4つ目は人事管理である。専門職は人事に関して、まったくと言ってよいほど
無関心である。むしろ積極的に嫌っていると言えるだろう。
 私(ドラッカー)が断言できることを1つ挙げるならば、
「専門職には、従来のあらゆる人事管理の方針、手法、手順を適用してはならない」
ということである。一般従業員を対象に作成された人事慣行は専門職には適さない。


 以上が、今回取り上げた著作のポイントです。
その後、この著作が書かれた時代から現代までを辿ってみると、
専門家を大いに活用して成果を挙げた企業は、
本著作でドラッカーが述べた専門家の行動様式とフリクション・ポイントを
上手くコントロールした企業であると言えるように思います。

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山本 誉 (経営コンサルタント)
中小企業の経営改善、成長支援を行う経営コンサルタント。認定事業再生士。プロフェッショナルCFO。 [プロフィール]

2019年2月20日

カテゴリー:ビジネス